〈価格競争力とは・青チップの正体〉

消費者が商品やサービスを選択する根拠を数式で表してみたい。

顧客が選ぶのは、企業や店舗の経営品質(Quality)と顧客自身の便益(Benefit)そして値段(Price)との総合指数、すなわちValue係数の良い商品、サービスである。

その数式はこうである

Value=(Benefit+Quality)÷Price

この数値(Value係数)の多寡、大小で消費者(顧客)は、商品やサービスを選択している。

●例えばここに380円と480円のラーメンがある。

単に価格で選ばれるだけなら、380円のラーメンが売れるはずであるが、そうではない。

顧客はPriceだけではなく、味の好みや料理の見た目、品揃え、店の清潔さ、店員の接客、店の雰囲気など、その時の食べたいものや気分などの総合指数との兼ね合い、すなわちValue係数によって、判断しているのである。

「今日は、少しだけぜいたくに行くか」

「今日は、寒いから温かいものにするか」

380円のラーメンのQuality指数が70 Benefit指数が10としよう。 このときのValue係数は、 (70+10)÷380=0.21

480円のラーメンのQuality指数90 Benefit指数が30なら、Value係数は

(90+30)÷480=0.25

480円のラーメンはPは高いが、Value係数で上回っているので選ばれるのである。

このQとBの合計をPで割った指数、これがMGでは青チップで表現され、
これが「価格競争力」と呼ばれるものである。

ライバル店のValue係数を上回るようにPとBとQをよく把握し、そのValue係数を上回ることができれば、単なる価格競争(値下げ合戦)に陥る愚行を回避できるのである。

表示価格(自社の理想)と口頭価格(顧客ニーズと経営品質)の差を埋めるとともに、
この埋めるものが大きければ大きいほど、多ければ多いほどその商品、サービスには
「価格競争力がある」という状態にある。

●具体的なValue(青チップ)とは、

値段は他社より少々高いが、接客サービスやアフターサービスが抜群。

値段は少々高いが、すてきな社員がいる。

値段は少々高いが、たとえ一個でも対応してくれる。

値段は少々高いが、短納期でも対応してくれる。

値段は少々高いが、困った時にすぐに飛んできてくれる。

値段は少々高いが、ワンストップサービスをしてくれる。

値段は少々高いが、社会貢献・地域貢献に献身的。

値段は少々高いが、決してうそをつかず安全・安心。

値段は少々高いが、いつも親切・丁寧に対応。

値段は少々高いが、品質・機能が抜群。

自社の持つ経営資源をどこへ注力するのかは、経営者の戦略的意思決定でもあり、
それを促すのは、他ならぬ「初期設定」の完了した社員である。

ここが「全員経営」の起点となるのである。

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〈初出日2023.1123〉