西式MGの根底には、ある経営思想が存在します

それは「Y理論」と呼ばれる人間第一主義・人間中心主義の経営を旨とするものです
別の云い方をすれば企業を構成する従業員第一主義です

経営者のバイブルと云われる「労使見解」にも、そのことをまったく同様に謳っています

人を生かす経営に必要な条件は以下の通りですが、「労使見解」とMGでは云い方に違いはあれども、本質的には全く同じです

1.働く人間、社員をパートナーとしてみる(対等な関係)

企業家(経営者)と従業員は対立関係にあるのではなく、同じ会社を一緒に運営していく共同体としての位置付けです
そして働く意義・意味は経営者だけでなく社員(従業員)にもその意識と向上を求めます

経営に向き合う姿勢は、経営者も社員も同じ視線・態度で臨むべきでしょう
それは仕事に向き合う姿勢と同じ意味です

「経営を維持、発展させる覚悟」は社員も一緒に共有しないことには、われわれの経営は立ち行きません

B/Sにおける生産財の所有者は企業である法人です  
その意味で経営者も社員も同じ組織を経営していく一個人であり
生産財を運用して一緒にMQを生み出す、同志・パートナーであると考えることができます

この「われわれの会社」という共有意識が重要な意味を持ってくるのです
経営者の視点を持ったトータルマンを育成するためにMGは誕生しました

同じ価値観・共通言語 それがないことにはパートナーとして一緒には汗を流せないからです

小林茂氏はこのことを「Everyone a manager」といいました

2.教育の重要性  (共育的関係の構築)

社員をパートナーとして位置づけるということは「全員経営」思想の根幹になります

「Everyone a manager」であり、「どの子も育つ、育て方ひとつ」(鈴木鎮一)のです

MGではこれを教えあい・水平教育思想として伝えています

労使見解にはその「社員教育」の点についての記述もありますが、十分とは言えません

経営情報(会計情報も当然含まれます)を理解してそれを行動へと結びつけるには、教育と訓練は不可欠です 
この訓練は経営者だけではとても全員には目が届きません   
やはり幹部が率先してフォローをしていくことだ大切です

それにはMGで計数や戦略の部分を徹底的に訓練することです

データは何をわれわれに問いかけているのか?  
他ならぬそれはお客様の声です

データの持つ意味やその利用の仕方をMGとマイツールで学びます

3.社内環境の確立

全員経営に必要な社内環境とは、自由と情報と革新です

仕事を通して人間性・霊格の向上や、自己実現を達成できる環境作り
そのための企業であり、そのための経済活動でなのである

戦略がはっきりすれば社員は自主的に行動します そのためには自由なほうがいい
必要な情報があって、好きに仕事ができて、イノベーションを起こそうという社風です

4.手段と目的

経済第一主義に幻滅したドラッガーは、それにかわるイズムとして人間性の復活にそれを求めました
人はみな生きるため、食べるために何らかの組織に属し、経済活動を行うからです

だからこそ、個人が属する組織を有効に機能させることが結果として、人間性の向上や幸福につながると考えたのです

目的は人の幸せであって、それを実現するための手段が企業・会社・組織です 
またその組織を維持する利益であるはずです

その思想をまとめたのが「マネジメント」です

Y理論と労使見解はドラッガーの「マネジメント」を祖とする、一卵性の双子であるといえるでしょう

「人間尊重の経営」は非常に難しいけれども、大変やりがいのあるテーマといえます

〈初出日 2017.0810〉