MGを学べば、MQ会計を自社でもやってみようということになります。

しかしそれは売上げをPQ・売上原価をVQ・固定費をFに変換することでは決してありません。
まず、製造業の場合は原価計算をFCからDCへと変更します。
さらに全業種に云えますが、Qデータ(毎日の販売数)も必要になってきます。

これらの準備ができたなら、以下のことに注意してください。

MQ会計を自社に落とし込むためのポイントは次の3点です。

1.Vを知る

会社の情報として、PQ(売上)とQ(販売数や客数)の情報は必ずあります。

当たり前ですよね。 だってこの情報が無いと、請求書や納品書を出すことができませんから。
お店ならポスレジの情報にあたります。

それでは、商品1品あたりの原価や仕入値を100%把握しているでしょうか?

ABC分析も売上高(PQ)ではなく、粗利額(MQ)でソート(並び替え)しなければ意味がありません。

そのためには、商品や製品1品1品のVデータ(単位原価)を把握しないと、それが何個売れたとしても、
その商品のMQを知ることができないばかりか、会社全体のΣMQ(MQの合計)も知ることはできません。

単品Vデータを知ることによってのみ、日々のΣMQがわかり、日次決算を可能たらしめるのです。

2.棚卸し

つぎにVデータがわかって、日々のMQが算出できたなら、その次は実際の会計データとの照合です。
その精度を照合する、つまり月次の会計データと日々のMQ会計データとの違算がゼロに近づいていくかです。

手順は、「月初の棚卸高(Z1)+当月の仕入高-月末の棚卸高(Z2)=当月の売上原価(VQ)」

この会計恒等式を使ってVQを算出します。

当月の売上原価(VQ)を計算したら、前述の日計VQで出した合計ΣVQとの照合をします。

その誤差が常識内(3%以内)なら、日次決算の精度は極めて高いと信頼できます。

著しく合わない場合、

1)Vデータの見直しをします。  ひとつひとつ丁寧に計算を見直します。

2)その次は、棚卸しの精度(見直し)です。

見落とした在庫は無いのか?  モノは無いのに会計上は計上してはいないか?
あるいはその逆のケースは無いのか?

「棚卸」がいい加減だと、VQの精度なんてあってないようなものです。

これは経営の基本中の基本です。    いくらMGを勉強しても関係ありません。
つまりMQ会計をやる以前の問題です。

また、在庫とはお金が姿を変えて倉庫やお店にあるという意識を徹底しているでしょうか?

この意識が浸透すれば、毎月の棚卸しは必ず不可欠となるはずです。

頭から「毎月の棚卸しは、うちでは無理」と思う社長は、そこまでの社長、会社です。

大事なのは、「30分で棚卸しが終わる仕組みを考えて、それを作るです」
また、「棚卸しはカウントしてはいけない」のです。

それは、社長の決意からしか生まれません。

3.発生主義

最後に一番大事なことです。

なかなか出来ていないのが、この「発生主義」による仕入の計上です。

多くの企業は、月末に仕入先から請求書が送られてから、経理担当の女性がこの請求書のデータを入力します。

問題は、そのデータは本当に「当月仕入」と期間が一致しているかどうか?です。

例えば、仕入先の会計の締日が20日で、自社の締日が月末だった場合、そこには10日間のズレが生じます。

4月21日~30日に納品された材料(商品)は、請求書は5月の分に計上されるからです。
(そして実際には納品されて、売上原価になっているのもあるはずです)
この違算は大きいですよ。

解決案はひとつだけ、材料や商品の入荷の都度、都度、入力することです。
モノが動くときには必ず伝票と一緒に移動・入力することです。

数字をないがしろにする、あるいは見ないようにする、日々のMQがいくらのかわからない、わかろうとしない。

それでは社長が「経営者の責任」を遂行しているとは云えないのです。

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〈初出日 2018.0418〉